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ずるいおじさん

電車に乗るとごちゃごちゃした人が多いので、基本的にはあまり人を観察しない。電車の種類にもよるけれど、自分が乗った車両全員がもはや敵ではないかと思うくらい身の危険を感じることがある。目を合わせることは色々な意味で危ないのだ。

ある日の昼間、ガラガラの座席。私の正面におじさんがドサッと座った。私もおばさんだが。

足をガラ悪く組み、ぎらぎらのサングラス。バッグは迷彩模様にドクロ付き。

珍しく観察してしまったのは、ぼーっと目の前の車窓を眺めていたその視界に入ってきてしまったからだ。あー、ちょい悪というか、品のないレオン風だなと勝手にカテゴライズしていた。決して目を合わせてはならぬ。そっと自分の手元に視線を戻そうとした。

突然、おじさんの携帯電話が鳴って取り出した。狙い通りのパイソン柄iPhoneケース。そこにたら~んと付いているものが揺れた。小さな鈴がついたお守り。

和柄で優しい桃色のお守り。金色の小さな鈴はなんとも上品に光っていた。その瞬間におじさんはきっと良いひとなのではないかと思う、単純な私。きっとそのお守りはおじさんを格上げするご利益がある。つい見逃すところだったがちょい悪おじさんの神頼みがかわいらしく見えた。

自分の身の回りの小物に気を配る必要性をもう一度見直したい。

ただ、ずるいと思った。

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