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もったいないに甘えない

人材の育成サポートの仕事をしていると個人面談の時間を預かることも少なくない。

相手の強みを引き出すことが得意ゆえ、面談では本領発揮。とはいえ、研修をしてから個別面談の流れだと態度のギャップに驚かされることがある。20名くらいの集合研修だとほぼ一人一人の顔や様子が詳細にわかる。というか、それがわからないと講師としてはよろしくない。あまりやる気がないな、眠そうだな、には慣れている。眠くならないように研修しなくちゃ、だけど。
終始頬杖ついて、身体の重心は常に歪み椅子に座るTくん。いざ対面すると意外とスマート。しっかりアイコンタクトを取って挨拶する。その後の話も自分の意見を丁寧に話せる。
「本当はできる人なのに、さきほどの受講態度はもったいないですよね」ストレートに伝える。「よく言われます、もったいないって」彼の表情はとても嬉しそうだ。
私は褒めたつもりはない。おそらく彼はいつも「もったいないよね、ちゃんとできるのに」が欲しくて第一印象を整える機会を逃している。それを言われる度に承認欲求が満たされていると推測する。「本当はできる」「本当はいい人」を賞賛だと勘違いして甘えている。
黒柳徹子さんは『トットちゃん』で書いておられる。先生から「君は本当はいい子なんだよ」と幼い頃に受けた言葉を糧に自分の道を選んで前進し続ける。その言葉は変化や成長のためにプレゼントされる。
出会った瞬間に好かれるとコミュニケーションはスムーズだ。トップセールスを誇る人たちは全力で身だしなみや所作、ふるまいを整える。自分の第一印象を磨く。本題に早く入るために。信頼できる関係性がスピードアップする。

「もったいない」に甘えてはいけない。それは褒め言葉ではない。

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